氷点 (下) (角川文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #34818 / 本
- 発売日: 1982-01
- 版型: 文庫
- 368 ページ
カスタマーレビュー
人間の弱さと脆さを描いた名作です
作者は原罪の概念を具現化するために、啓造、夏枝、陽子、の三人を造詣しました。物語の悲劇は、不貞を疑わせる行動をとってしまった妻の夏枝の弱さと、その妻を正面切って問い詰めることが出来なかった夫の啓造の弱さにあります。それら弱さを、各キャラクターの内面を伴ったエピソードを通じて的確に描いています。見事なキャラクター造詣です。一方陽子はやや超人的で、明るく前向き潔癖に生きようとすることから、前出の二人よりもより根本的な深い人間の罪に気付かされてしまいます。でも、キリスト教徒でない私には、陽子が潔癖さゆえに原罪をあまりに重く捉えてしまっていることには、やや賛同できませんでした。しかしながら、人間の内面の弱さと脆さを描いた名作として、高く評価できます。読んでよかったと思いました。
「原罪」はだれでも持っている
この小説のテーマは、「原罪」です。
原罪とは、創造主である「神」に背を向けて、自己中心的な行動を
する事を言います。
「神」中心に生きていたアダムとイブが、「この園の中心にある木の実は
食べてはならない」という神の命令にそむき、サタンの化身である蛇に
だまされて、「知恵の実」を食べます。
食べた時から,人間は是非弁別の能力がつきました。
それと同時に、嫉妬、ねたみ、うらみ、怒り、おごり,うそ、悪心など
エデンの園ではみられなかった「感情」をもつようになりました。
これらの感情にとらわれ、自分だけ良ければいい、という生活を繰り返す。
これが人間の原罪です。
原罪はすべての人にあり、取り去る事はできません。
なぜなら、原罪は人間の外から来るものではなく、内側から来るものだからです。
「氷点」はそれぞれ自分の原罪をさらけだして生きている人がビビッドに
描かれています。
最も清純な主人公辻口陽子にも、これ以上耐えられない「氷点」がありました。
人間が生来持っている悪い心「原罪」を深く考えさせてくれる本です。
面白い!
キリスト教的な考え方というのは実のところ理解できない部分も多いです。しかし、この本はそんなこと考えなくても知らなくても十分面白く読めます。
波乱に満ちたストーリー展開は一級のミステリー小説といってもいいのではないでしょうか。
文字が苦手な人にも絶対に面白く読める小説だと思います。
一番興味深かったのは、主人公の母親の言動です。自分の美しさを誇りそれが永遠のものだと信じていたのに、継子によって無残な敗北を喫する。若さと美しさは限りあるものであることを痛切に感じさせられました。そして女の持つ独特の心の醜さをみせつけられているようでした。





