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ベストセラー小説の書き方 (朝日文庫)

ベストセラー小説の書き方 (朝日文庫)
By ディーン・R. クーンツ

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  • Amazon.co.jp ランキング: #2002 / 本
  • 発売日: 1996-07
  • 版型: 文庫
  • 365 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
どんな本が売れるのか?超ベストセラー作家が、自作をはじめ、さまざまな例をひきながら、成功の秘密を説き明かす。何百万もの読者に支持される人気作家ならではの、それ自体が一つのエンターテインメントとなるように計算された好読み物!巻末に読書ガイド「読んで読んで読みまくれ」添付。


カスタマーレビュー

娯楽作品を「楽しむ」全ての方へ4
実は、私自身は小説家になろうなどとはこれっぽちも思ったことは無く、恐らくこれからもないでしょうが、ベストセラー小説を書くためのノウハウって一体どんなものだろうという、単純な好奇心からこの本を手にしました。

この本は、作家を志す人へ向けて、その作品がベストセラーとしてヒットするために押さえておくべきポイントを、実際にベストセラー作家である著者の体験を基に詳しく具体的に書かれています。

著者が作品を評価する基準は単純明快。
大衆に受け入れられてこそ意味があり、一部の評論家や限られたファンの賞賛を得たところでヒットしないことには値打ち無し、と言う売り上げ至上主義ともいえるべきもの。
たとえヒットしなくても、真に良い物なら後世に残るはず・・・などという甘っちょろい幻想はもちろん頭ごなしに否定されます。

この書物に対して賛否両論あるのも頷ける話で、仮に私が小説家を目指していたとしたら果たして素直に賛同できたかどうかは甚だ疑問の残るところです。

しかしこの賛否両論あるだろうハウツー本も、小説を作る側ではなく私のように読む側として手にした場合はまた、一味違った楽しみ方ができるものです。

実は、これを読み進めるうちに私が常に思い描いていたのは、小説ではなくアメリカのTVドラマの「24シリーズ」や「プリズンブレイク」などでした。
これらのドラマは事実多くの人の支持を得ているわけですが、私自身も大ファンで、よくもこれだけ面白い展開を毎回思いつくものだと感心することが多かったものです。
そして、いったいどうやってこんな話を思いつくんだと、ただただ感嘆するしかありませんでした。

ところがこの本を読んでみると、なるほどあの面白いストーリー展開にはこういう仕掛けがあったのか、あの設定は適当なように見えて実は非常に計算されたものだったのか、などと言う具合に、作品を裏から支えるある種の合理精神を読み解く糸口を見つけ出せます。
そして再度作品を見直すと、以前は見落としていた緩急のつけ方の妙や、登場人物の強い動機付けを行うための背景描写など、それまで漠然とよくできてるとしか思っていなかったことが、一つ一つ粒のように目の前に立ち現れてくるようになり、より一層作品個々の個性が認識できるようになります。

これはもちろん小説やTVドラマにとどまらず、映画、コミック、演劇など、ストーリーを用いたおよそあらゆる娯楽作品を楽しむ際に有効だと思われます。
というわけで、様々な娯楽作品を今までとは少し違った角度から楽しんでみたいという方がいたら、是非この一冊をお薦めいたします。

それでもやっぱり読んでおいた方が・・・5
評価の高いレビューも、そうでないレビューも、だいたい正しいです。
著者が書いてある通り、娯楽性のない小説とは、独り善がりの作品であり、いずれ忘れ去られる存在なのです。
そして、人に楽しんで読んでもらうには、ある程度の「テクニック」があり、その「テクニック」について、本書は極めて詳細かつ丁寧に解説しています。
人間の愛憎という「物語」の基本要素は、ギリシャ神話の昔から変わっていないのです。(なぜなら、実は人間自体が石器時代から変わっていないから)
小説はただ、その基本要素を組み換え、入れ替え、塗り直し、その時代に合ったものにしているのにすぎません。
新しい、とされる人物像も、超自我者の孤独、既存の社会への反抗、全てを諦めた虚無主義、など、突き詰めれば元ネタが見つかるものです。
人類の長い歴史の中で、面白いとされる物語の「パターン」が、ある程度法則化出来るのは否定出来ないはずです。

一方、確かにこんな本読んでも、スラスラとベストセラーは書けるはずがありません。
小説の「面白さ」とは、「テクニック」だけではなく、作者個人個人の、独特の視線や世界観、人間に対する考察の深さであって、これは教えようがないし、教えてたどり着けるレベルではないからです。
こればかりは自らが、悩み、苦しんで、自分の頭でたどりつかなくてはなりません。
面白い小説が書きたかったら、こんな本読む暇にちょっとでも小説を書け、という意見は全くの正論でしょう。

ただし、それでも「テクニック」は知らないよりは知っておいた方がいいはずです。
著者が繰り返し書いているように、「読者を楽しませる」事を忘れた作品は、いずれ忘れ去られ、消え去る宿命なのです。
(これも著者が書いてるけど、学者評論家の評価が高い古典でも、今や相手にされない作品のいかに多いことか!一方で、読み継がれる名作は、やっぱり「読者を楽しませる」「テクニック」を持った作品ばかりです。)
特に本書は「テクニック」について最も詳しい書であると断言出来るので、読んでおいた方がいいでしょう。

プロの仕事5
古今東西、小説作法の書はいろいろ書かれてきた。その中でもこの本は異彩を放っている。とにかく、作者の小説に対する真摯な姿勢と情熱を文章の節々から感じとることができるのだ。読んでいて、とても気が引き締まり、そして、勇気付けられる。将来、作家を目指す者には最良の先達となる本である。
また、この本の特筆すべき点は小説をエンターテイメントの商品としてビジネスの側面も強く打ち出していることである。実は、今までの類書に欠けていたのはこの視点なのである。
本の安易なタイトルと派手な表紙からは、とても想像できないしっかりとした密度の濃い本である。