商品の詳細
刑法入門 (岩波新書)

刑法入門 (岩波新書)
By 山口 厚

価格: ¥ 777 1500円以上は送料無料 詳細

発送可能時期: 在庫あり。
販売、発送は Amazon.co.jp

9 新品/中古商品価格 ¥ 342

おすすめ度:

商品の詳細

  • Amazon.co.jp ランキング: #97368 / 本
  • 発売日: 2008-06
  • 版型: 新書
  • 228 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
犯罪とは何であり、なぜ犯人には刑罰が科されるのであろうか。また、「罪が犯された」と言うためには、どのような条件が必要なのか。刑事裁判に市民が参加する裁判員制度が導入されるなど、私たちも刑法の基本を理解することがこれまで以上に求められている。刑法学の第一人者が、犯罪と刑罰をめぐる考え方をわかりやすく解説する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
山口 厚
1953年生まれ。1976年東京大学法学部卒業。現在、東京大学法学部教授。専門は刑法学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

刑法総論入門4
著者は文章が難解なことで有名なので、ちょっと心配だったのですが、
まったく問題ありませんでした。非常に読みやすい入門書です。
複雑な理論に深入りすることはありませんので、それなりに読書好きの方なら
誰でも十分に読みきれる内容だと思います。

全体の流れは、刑罰の概要に始まり(ここが少し細かくて読みづらいかも)、
刑法の基本原則,犯罪の成立要件へと続き、正当防衛などの犯罪が成立しない
特別な場合の説明で終わります。
著者が今まで築き上げてきた刑法学のさわりの部分を語るものですので、
何か新機軸を打ち出したようなものではないですが、教養書としての刑法入門として
安定感はかなりよく、広くおすすめできる一冊だと思います。

ただ、本書は、犯罪,刑罰の一般原理を解説した本(いわゆる刑法総論)ですので、
こんな犯罪があるとか、あんな犯罪はこのような場合に成立するといった、
犯罪別の具体的な話が出てくる(いわゆる刑法各論)わけではありません。
裁判員候補である一般市民に対する解説書と考えると、
裁判員裁判で対象となる殺人罪や放火罪,危険運転致死罪などの各論的説明も、
入門書とはいえぜひ欲しかったなあとは思います。その点は残念です。

刑法判断の「軸足のずらし」に焦点4
犯罪を構成する条件は何かという一点を追究した、理論面からの刑法入門。単純な犯罪ではなく、複雑な要素が絡み合い判断に苦しむような事例を、どのように一般的原理から説明するか。これが、刑法学の課題である。著者によれば、1970年代頃から、刑法の犯罪観は大きく変容し、犯罪を「倫理違反」として捉える視点から、犯罪を「利益侵害」として捉える新しい視点へと移行した(p32f)。これが、本書を貫く通奏低音である。犯罪を「倫理違反」ではなく「利益侵害」とみなすことは、刑事裁判の判決の多くに直接影響を与えるものではない。しかし、複雑な境界事例の判断には大きな影響を及ぼす。著者はそれを、誰も被害者がいない「わいせつ物販売罪」は妥当か(p35f)、福岡県青少年条例をめぐる最高裁判決において、多数意見の「淫行」観の不自然さを批判した伊藤正巳判事の反対意見(p95)、そして、毎日新聞西山記者が外務省の蓮見事務官と「情交」を結び、外交機密を漏洩させた外務省秘密漏洩事件(185f)などについて解説する。特に、外務省秘密漏洩事件の最高裁決定に対する著者の批判は、力がこもっている。その要点は、西山記者が蓮見事務官を「性的に誘惑」して機密を得、その後彼女を捨てたのは「個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙し・・・社会観念上是認できない」という理由で西山を有罪にしたのは、「利害侵害」ではなく「倫理違反」を根拠にしており、理論的整合性を欠くという批判である(p199f)。西山と蓮見の「情交」は大人の男女間の倫理問題であり、倫理は刑事罰を加える論拠にはならない。「女性を誘惑した西山はけしからん、機密を渡した後に捨てられた蓮見さんは可哀想」という国民の「良識」におもねる判決なのである。

入門の入門として5
新書の役割は専門的な事柄をずぶの素人にも解るように、そして最先端のことを平明に書いて読者に提供することにあります。そうでなければ新書の意味をなさないからです。本書は現在における犯罪について刑法はどの様に成り立っているのか、犯罪の成立、刑罰などについて書かれています。新書ですから著者自身の理論を展開する場所ではないので、あっさりとした内容の物になっていますが入門としては充分な知識を与えてくれています。本書を読み終えた上で、興味を持たれた方は次のステップに移る。これが新書の役割でしょう。本書では見事にそれが完遂されています。巻末に3冊+2冊の本を参考文献としてあげていますが、著者自身の本を挙げていないところが、共感を呼びます。何も刑法なんか知らないと言う人にはうってつけの新書です。