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沖縄密約―「情報犯罪」と日米同盟 (岩波新書)

沖縄密約―「情報犯罪」と日米同盟 (岩波新書)
By 西山 太吉

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  • 発売日: 2007-05
  • 版型: 新書
  • 213 ページ

エディターレビュー

出版社 / 著者からの内容紹介
日米の思惑が交錯した沖縄返還には様々な密約が存在した事が、近年相次いで公開された米公文書や交渉当事者の証言で明らかになりつつある.核持ち込み、基地自由使用、日本側巨額負担…….かつてその一部を暴き、「機密漏洩」に問われた著者が、豊富な資料をもとにその全体像を描くとともに、今日の日米関係を鋭く考察する

内容(「BOOK」データベースより)
日米の思惑が交錯した沖縄返還には様々な「密約」が存在したことが、近年相次いで公開された米公文書や交渉当事者の証言で明らかになってきた。核の持込み、日本側の巨額負担…。かつてその一角を暴きながら「機密漏洩」に問われた著者が、豊富な資料を基に「返還」の全貌を描き、今日に続く歪んだ日米関係を考察する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
西山 太吉
1931年、山口県に生まれる。慶應義塾大学法学部卒、同大学院修士課程(国際政治学専攻)修了後、毎日新聞社に入社。経済部を経て、政治部記者として首相官邸、自民党、外務省などを担当。1972年、沖縄の施政権返還にからむ密約取材をめぐり、国家公務員法違反容疑で外務省の女性事務官に続いて逮捕された。一審で無罪(事務官は有罪、控訴せず確定)となったものの、二審で逆転有罪、1978年、最高裁で確定(懲役4ヵ月、執行猶予1年)した。一審判決後に退社し、福岡県北九州市の西山青果株式会社に勤務、1991年、退職。「密約」を裏づける米公文書などの報道が相次ぐ中、2005年、謝罪と損害賠償を国に求めて提訴した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

「密約」の政治的経済的理由4
「密約―外務省機密漏洩事件」(澤地久枝)で、沖縄返還に関わる「密約」について、その漏洩事件そのものついては、読んでおり知識もありました。

この本は、その「外務省機密漏洩事件」の当事者である元毎日新聞の記者である西山太吉が、その「密約」の背景にあったものを解説して行きます。その論は進んで、この日米同盟にこそ「密約」が生まれる土壌があると説いて行きます。そして、この日米同盟をそうした体質にしてしまい、今や「情報犯罪」と言えるようなレベルに達した原点は、「沖縄返還」時の共同声明にあるというものです。

その時、そうならざるを得なかった両国の政治的理由、経済的理由が、解りやすく書かれています。当時の佐藤首相の「四選」への意欲や、福田大蔵大臣のポスト佐藤狙いと言った、まさに、個人の政治的野心でこれらの判断がなされたということには、腹が立つのを通り越して、呆れてしまいます。日本人の政治的な関心のレベルの低さが、こんなことを起こしたのでしょうか。

ヒラメ判事よ! これでもまだ国家の番犬でしかないのか!?5
 本書のような重大な事件を、1個人の寝言のごとき扱いをし闇に葬った1972年当時のマスコミ・裁判所、そしてまたアメリカ側からの公文書情報公開や交渉当事者の「密約はあった」発言をも無視した裁判所。 一時的にしか取り上げないマスコミ。
 政争のようなくだらない理由で密約はなされ、その姿勢は、「思いやり予算」「イラクへの派兵」といった形で継続している。
 密約にかかる多くの事実が白日の下に晒された現在、これをキチンと検証し、司法の手で裁かなければ、今も続いていると思われる国家トップによる様々な「密約」を正すことはできない。
 先の参院選は、年金・不透明な金・閣僚の失言が争点となったが、そんなワイドショー受けする事件より、更に本質的なこの密約についてを深く長く追うことこそマスコミの使命であろうし、今も使途不明な税金をむしり取られ続ける我々にとっても、本書は必読の書である。

返還時から言いなりだった日本3
沖縄密約を暴露させた本書著者・西山元記者は有罪判決を受けた。個人的には西山氏は無罪だと思うが、女と寝てネタを取り、自社媒体で発表せず野党議員に暴露させ、結果として情報源を守りきれなかった氏はジャーナリストの倫理に悖り、記者失格である。しかし、本書を読んで、優れた構想力のある記者だということがわかった。

佐藤首相の最大の公約だった沖縄返還を実現するため、田中、福田といった次世代の指導者が、返還交渉に参加する。その経過で、総額3兆円の買い戻し金が日本から米に流れた。これらの交渉の経緯は今に至っても日本側からはほとんど公開されていない。

米公文書館からはすでに7年前に密約が公開されているが、日本はいまだ密約を認めようとせず、外交文書もいまだ非公開。著者は「異常なる隠蔽体質」と批判するが、全く同感。30年以上経過した文書は過去のものといっていい。そんなものを隠し続け、歴史の検証を受けまいとする外務省には歴史を残す府としての存在意義がない。

後半の日米軍事再編のくだりは本文の趣旨とあまり関係ないような気もしたが、沖縄返還時に規定された沖縄に対する日米関係が今に至るまで続いているという点は理解した。

機密漏洩で有罪判決を受けたことを不当として、国を訴えた裁判の当事者でもあるため、著述が国に非常に苛烈になっているが、巨額の金が動いていた事実を理解するには、もっともわかりやすい。