労働ダンピング―雇用の多様化の果てに (岩波新書)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #55694 / 本
- 発売日: 2006-10
- 版型: 新書
- 237 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
人間の労働が“物件費”に組み込まれ、商品以上に買い叩かれる。競争に競り勝って仕事を得ても、正社員とのポスト争いで泥沼。働く現場がダンピング攻勢にさらされている。有期雇用・派遣・パート・偽装請負…雇用の液状化現象が働き手を襲う生々しい現状報告。一人ひとりが人間として働き生きるためのオルタナティブを考える。
内容(「MARC」データベースより)
人間の労働が「物件費」に組み込まれ、商品以上に買い叩かれる。有期雇用・派遣・パート・偽装請負…。雇用の液状化現象が働き手を襲う生々しい現状報告。ひとりひとりが人間として働き生きるためのオルタナティブを考える。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
中野 麻美
1975年北海道大学法学部卒業。79年弁護士登録(東京弁護士会)。現在は、NPO派遣労働ネットワーク理事長・日本労働弁護団常任幹事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
何もしなければ悪くなるだけ
非正規労働者(派遣、パート、請負など)がこんなにも増えているのに、賃金が上がったという話も聞かない。じゃあ正規労働者が幸せかというと、長時間労働を強いられ体を壊したりうつ病になったり…。そんな世の中、なにか変!と感じていたのでこの本を手にとった。競争原理と経営者側の力が圧倒的に強いのに比べ、一人一人の労働者のなんと弱いことか。仕事しなきゃ生きてけないのに、そのうえ労働環境改善のために何かするのはとても難しいこと。それでも、連帯して現状を少しでも変えてかなきゃいけないんじゃないだろうか。「何もしなければ悪くなるだけ」と著者。じゃあどうするか?一人一人が行動しなくちゃいけないと思う。正規も、非正規も、人間が人間扱いされてない社会は、悲しい。
現代の雇用の問題を考えさせられる。
規制緩和の潮流の中で変わっていく雇用と働き方について一石を投じる本。私の会社にも多くの派遣社員がいるが、その就労の実態がこんなに過酷とは思わなかった。私のところでは残業はさせないし、仕事も契約で取り決めた以外のことはさせていないから比較的働きやすい職場だとは思うが。市場原理と企業の論理が際限なく適用されていく中で、働く者の権利はどこに行ってしまうのだろうか。
そのことは非正規社員にとどまらない。本書でも触れていた「ホワイトカラー・エグゼンプション」などはその典型だ。ネット上で制度の内容を確認したが、「アメリカで実施できているんだから、日本でもできるだろう」程度のお粗末な発想で作られたとしか思えない。正社員・非正規社員を問わず、低賃金で長時間こき使う労働がまかり通れば、少子化問題などは一向に解決しないだろう。やっていることが矛盾しすぎている。
そんな中、最終章で語られていた労働環境の改善に向けた取り組みとその成果の話にはほっとした。いま問われているのは雇用そのものではなく労働の質であり、それは守られるべき人権であることを教えられた。その意味で、労働の男性モデルから女性モデルへの転換という提言は興味深い。
ただ本の構成については、「言いたいことはいっぱいあるが、新書という制約もあるので詰め込めるだけ詰め込んでみた」という感じ。個人的には3章は退屈だった。要点だけをピックアップして4章と合わせて1章にしたほうが内容がぶれなかったと思う。主題、主張ともによく出来ていただけにちょっと残念だ。
すべての労働者よ、読むべし。
著者が弁護士であるだけに、現実的な問題を投げかけている。問題を深刻に捉えすぎているのではないかとも思ったが、現在の労働環境が続くことにより将来の日本が壊滅的な状態になると言う著者の主張には、かなりの説得力がある。もし、すべての日本で働く労働者がこの本を読めば、政府・企業も動かざるをえないほどのパワーにつながると思うのだが…。
個別の内容に関しては、コンパクトな本であるにも拘らず、正社員の過剰労働、職場における男女差別、パートタイム労働者、派遣労働者の問題等、今ある労働の現場の問題をすべて取り上げていると言っても過言ではないほど充実している。
強いて欠点を挙げるとすれば、専ら現体制の批判に終始していて、著者の考える解決策が見えてこないということ。しかし、私はこれで良いのだと思う。著者は学術論文を書いたわけではないし、答えは1つではないだろう。具体策は労働者たる読者が考えるべしとの著者の思いを感じ取ったが、それは私の思い過ごしだろうか…。





