日中関係―戦後から新時代へ (岩波新書 新赤版 (1021))
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商品の詳細
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- 発売日: 2006-06
- 版型: 新書
- 232 ページ
エディターレビュー
内容(「MARC」データベースより)
首相の靖国参拝や「反日デモ」にゆれる日中関係。その閉塞はなぜ生じたのか。冷戦期から国交正常化を経て、現在に至るまでの半世紀の歩みを丹念にたどりながら、両国の「新時代」をこれからどう築き上げるかを考察してゆく。
カスタマーレビュー
健全な日中関係を念じる著者の分析と提言
今、中国は急速に伸びている。その傾向に関して囁かれる中国脅威論も崩壊論も、日中関係を好転させるには「百害あって一利なし」と言う著者の言。今後中国とどう付き合うべきかを考える前に、どう付き合ってきたか、どう付き合っているか、それをしかと知らねば話にならない。そう言う観点から、本書は極めて理路整然と冷戦時代から始まって、日中正常化のプロセス、改革開放政策、そして構造変革する日中関係が時代の流れに沿って簡明に述べられている。そして、大切なのは、日中はパートナーになりうるか、新たな関係を模索するという、本書の鮮やかな構成になっている。更には、中国での現代日本研究に意見を述べているのがいい。「等身大の日本」をみてほしいということ。「日中間で実のある学問的対話ができることを切望している」(雅)
日中の戦後は、まだ終わっていない
日中の戦後は、まだ終わっていない。日本は終わったと思っているが中国は思っていない。日中の齟齬はそこにある。というのが筆者のスタンスである。
筆者は日中関係史を、
(1)52年のサンフランシスコ講和条約→日本と大陸中国との断絶
(2)しかし、ほそいとは言え、民間貿易を通じた接触があった
(3)反ソ連を媒介にした米中の接近、アメリカの反中国の縛りがとれた後72年の日中国交回復
(4)毛沢東、周恩来が国際戦略を重視するあまり、民衆に説明しないで対日賠償放棄
(5)賠償放棄の代わりの円借款
(6)中国の高度成長と強大化、
(7)天安門事件、96年台湾海峡へのミサイル発射(中国の強硬的台湾問題処理)、台湾の民主化進行、
(8)日本における中国脅威論と嫌中感情
(9)小泉首相の靖国参拝
と、今日の日中関係をかたちづくる節目となった事件をたどったのち、
双方納得の上で「戦後」を終わらせ、新時代を築くべきだというのが筆者の主張である。
そのために具体的には
○政界、論壇を含めて、相手を刺激するような不注意なことは言わない
○日中リーダーの定期的接触、
○「価値」や「歴史問題」を絡ませない「利益」問題の話し合い
○日中韓の共同歴史研究、
○環境問題や教育などの共同事業、
○東アジア共同体の必要
など 6つ提言をしている。
日中の共存のために互いに応じられる現実的な提言を行なっているし、表現の正確性を期すために言葉をよく考え抜いたうえで使用している優れた書物である。
鋭い中国の政策決定過程分析
本書は現代中国論が専門である著者が日中関係につき、中国の政策決定過程等を明らかにしつつ分析した本。学者である故に、多くの歴史文書に依拠し、かつそれらを参考文献として記載しているために、情報源としてもかなり役に立つ。
本書で特に目新しかったのが(自分が知らなかっただけだが)、日中国交正常化のプロセスで、賠償請求の放棄を含め対日政策を決定したのが、当時(1964年時点)の中国側のトップ二人(周恩来及び毛沢東)であり、幹部と国民には最後まで知らされなかったということ。毛利は、このトップの決定に対する不満も、現在の中国の反日感情の要素のひとつになっていると分析する。
著者は基本的に総理の靖国参拝には反対。ひとつ興味深かったのが、終始落ち着いた文章で日中関係を分析していた著者が、「新しい教科書を作る会」等に代表される「新ナショナリズム」を批判する部分。著者は同教科書を、「神話に依拠し、戦争を含めた日本近代史を「国民主義」で塗りつぶす」とし(p172)、「日本が侵略した事実を直視する歴史観を「自虐史観」と斥け、あらたな「心地よい」近代史を描こうとするのである(p173)。」と手厳しい。よほど嫌いなのだろう。
著者は本書を執筆するに当たり、現状の分析を中心に据えているために、何か具体的な政策提言がされているわけではない。(政策提言はされているものの、いまいち抽象的で何を提言しているのか良く分からない。)但し本書は中国の対日政策決定過程を鋭く分析しており、それを読むだけでも価値は十分にある本である。





