イラク 戦争と占領 (岩波新書)
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商品の詳細
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- 発売日: 2004-01-22
- 版型: 新書
- 244 ページ
エディターレビュー
出版社/著者からの内容紹介
短期間でイラク戦争を終結させたアメリカ.だが,その占領統治は混乱のきわみに陥っている.アメリカの目算はなぜ狂ったのか.イスラーム政治運動の拡大は,ポスト・フセイン体制をどのようなものにしていくのか.13年ぶりの現地訪問を果たした著者が,激動の戦後イラクを描き出す.2002年刊行の『イラクとアメリカ』の続篇.
内容(「BOOK」データベースより)
短期間でイラク戦争を終結させたアメリカ。だが、その占領統治は相次ぐ武力抵抗によって混乱の極みに陥っている。亡命イラク人を重用しようとしたアメリカの目算はなぜ狂ったのか。イスラーム政治運動の拡大は、ポスト・フセイン体制をどのようなものにしていくのか。一三年ぶりの現地訪問を果した著者が、イラク「解放」の現実を描く。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
酒井 啓子
1959年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。英ダーラム大学(中東イスラーム研究センター)修士。現在、アジア経済研究所参事。専攻はイラク政治研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
どっこいイラクの社会的ネットワークは生きていた。
サダム・フセインの独裁のもとでイラクの人々が形成してきた社会は死に瀕しているに違いない。よって、そこに外来の市民社会を移植できるはずだという米英の目算はみごとにはずれてしまった。
著者はイラク戦争の「終結」後に陸路からイラク入りして、現地をつぶさに取材した。その結果わかってきたのは、国際社会が気づきもしなかったような生き生きとした社会的なネットワークが、独裁の重圧が外れた途端にイラク国民の生活の表面に浮き上がってきたという事実である。
アメリカ占領軍はこのようなイラクに土着の社会的なネットワークを抑圧することによって、ますますイラク国民の意識から離反するという悪循環に陥っている。
本書に登場する人物たちは多彩である。タクシーの運転手から街であった普通の人々をはじめとして、戦後アメリカ軍と一緒に入ってきた亡命イラク人、サダムの圧制下で亡命を余儀なくされた軍人、宗教家、等々。丁寧な人物紹介を通してイラクの生きた現実が浮かび上がってくる。
イスラームについても、シーア派がイラン系で、スンナ(スンニ)派はサダム系、などという通常流布されている誤った単純化された図式を著者は排除する。イラクの人々にはもっと奥深い知恵があり、地域社会に根付いた生活と文化があるというのである。
復興行政を担う実務能力も無いのに権限や利権のみを独占したがるアメリカの占領統治は混迷を深めるばかりである。イラクの人々の前途は多難すぎる。だからこそ、著者のように土地に根付いて生活する人々の目線から現実を見つめる必要がある。
イラク戦争&占領統治批判
森本敏編『イラク戦争と自衛隊派遣』は、「イラク戦争を肯定的に評価する立場から論述」(森本、5頁)した本だった。しかし、本書はむしろ全く正反対の立場から、すなわち「今回のイラク戦争は、イラク人はもちろんのこと、国際社会の多くが、その正当な理由を見出せない理不尽な戦争」(105頁)という認識を持って書かれたものである。前者だけを読んでいては全くわからない現実が、嫌というほど本書では描かれている。イラク国民の立場に立った場合に何が最も必要とされることなのか、という視点が一貫して維持されている。
『アメリカはなぜイラク攻撃をそんなに急ぐのか』(朝日文庫、2002年)の中でも、サンドラ・マッケイが、フセイン追放後のイラク国内の混乱を予測していた。本書の著者が指摘するように、言ってみれば誰でも予測できる事態だったにも関わらずなんら事前に妥当な政策は練られず、誰にでも予測できたはずの結果に今米軍は苦しめられている。現政権の政策決定過程のどこかに致命的な欠陥が存在していると見るべきだろう。
イラクという国の成り立ち
イラク戦争があり、自衛隊の派遣もあったため現在日本では毎日ニュースでイラク関連の情報を得ています。
しかし、イラクという国がどのような成り立ちでイラク戦争以前日本とイラクの関係はどのようなものであったかをほとんど報道されていません。
この本は前書きに5章の本文、それにあとがきがあります。
1章から4章までは正直なところ私は、なかなか理解が出来ず読み勧めるのに時間がかかりました。
でも、イラクの各部族は組織ではなくネットワークというつながりを持っていることなど興味深い記述も多く人間が作り出す社会というものについて考えさせられました。
私が最も興味深く読んだのは終章です。
イラクという国家の成り立ちを拾ってあります。イギリスがオスマン帝国を解体する際に作った国家だということ…激しい抵抗運動があったこと…日本とイラクの関係を作り上げて言ったのは日本企業であるということ…などなど。
現在も日本企業への期待は大きいと酒井さんは指摘しています。そして、自衛隊が占領軍とイラク人にみなされればこれまでの日本企業によって作られた関係は壊れてしまうだろうということも書いています。
この終章を読むだけでも価値がありますし、あとがきで映画『アラビアのロレンス』についての解釈もイラクを知る上で貴重な記述だと思います。





