デモクラシーの帝国―アメリカ・戦争・現代世界 (岩波新書)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #133458 / 本
- 発売日: 2002-09
- 版型: 新書
- 214 ページ
エディターレビュー
出版社/著者からの内容紹介
2001年の同時多発テロとアフガン戦争を経て,新しい世界秩序が姿を現してきた.それは,アメリカが「帝国」として世界を動かすというものだ.なぜアメリカは帝国になったのか.アメリカの変貌の下で,世界はどうなるのか.帝国秩序を超える道はどこにあるのか.気鋭の国際政治学者が,現代の世界政治を徹底分析する.
内容(「BOOK」データベースより)
二〇〇一年の同時多発テロ事件とアフガン戦争を経て、新しい世界秩序が姿を現してきた。それは、アメリカが「帝国」として世界を動かすというものだ。なぜアメリカは帝国に向かったのか。アメリカの変貌の下で、アジアやヨーロッパ、第三世界はどうなるのか。帝国秩序を超える道はどこにあるのか。世界政治の現在を徹底分析する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
藤原 帰一
1956年東京生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得中退。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授。専攻は国際政治(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
デモクラシーと帝国
国際関係におけるアメリカの一極集中については数多くの議論があるが、それを民主主義との関係において丁寧に論じている。民主主義がなぜアメリカという「帝国」を生んだのかという問題を、歴史的に理論的に説明するだけでなく、映画などを題材として国民意識の分析なども行っており、非常に面白い。アメリカの外交姿勢について問題意識を持っている人は多いと思われるが、単に感情的に批判するのではなく、「なぜ」このような姿勢が生まれているのかを冷静に分析していくことも重要だと思う。そのための材料として本書は適切だろう。
主張は分かる。が、しかし...
著者の意図として、米国と各国との相互関係の上で、米国を批判しているのは最もだと思うし、批判しながらも、将来の国際関係において米国に期待している面もまた、最もだと思う。さらには、米国を含んだ国際システムを再構築するのに、現在において最も普遍的であると言える組織である国連を利用する面もまた分かる。と言うかそれしか方法が無いのかもしれないが。
しかし、その為の手段を最も明示的に示して欲しかった。結局、国連に期待するのは分かるが、では「どうやって米国を国連に巻き込むのか?」と言う、実際的な面を示していない点で、イマイチ現実性の無い話に終わってしまった観がある。最も、これは「新書」であると言う点を考慮すれば、仕方の無い事なのかも知れない。
本書で最も興味深かった事は、分析の手法の1つとして、文化的概念である「映画」を用いている点である。著者の示唆する通り、その時代の文化的側面が、その社会を映す鏡である事は当然であるし、こういった面が、外交史における分析手段の多様化を示していると考えれば、月並みの意見ではあるが面白いと思う。
従来の研究手段にとらわれない多様な研究が既に存在しているが、これからの外交史では、この様な側面がより一層重視されていくのだろうなぁ…と、漠然ながらも読んでいて思った。そう言った意味では、新書ながらも、非常に楽しめた書籍であると言える。
国際社会をどう組み立てていくべきなのか。
この書は単純なアメリカ批判に終始するものではない。もちろん、冷戦終結後、筆者の定義する『帝国』となりうる潜在可能性を唯一秘めることとなった大国アメリカが、9・11の同時多発テロとそれに対するブッシュ政権の対応という過程を経て、いよいよ『帝国』を具現化する存在としての様相を帯びてきたと言うことに対し筆者が多少なりとも批判的な口調で語っているのは事実であるし、また、9・11以降、アメリカの単独主義に対し漠然とした嫌悪感を抱いてはいても、それでも、アメリカの提供するエンターテイメント溢れる文化を真っ向から否定することなく無意識的に甘受してきた人たちにとっては、アメリカのエンターテイメントのまさに象徴的存在であるメガ・ヒット映画の構造を巧みに用いて、アメリカ国民のうちに潜む価値観・心理と、それを反映する外交政策の諸問題を暴き出そうとする本書の試みが、かなり攻撃的なものに映ったとしてもそれは何ら不思議なことではない。しかし、アメリカが帝国への道を歩みつつある原因を、筆者がひとりアメリカのみに帰そうとしているのではないことは終章を読めば明らかであろう。ヨーロッパにせよ、アジアにせよ、本心ではアメリカの政策に賛同してはおらずとも、軍事的には現実問題としてアメリカに頼らざるを得ない状況を抱えており、それを打開することなく、自らの局地的、地域的な問題へと関心を移行させ、外の世界に専ら無関心を装うとすれば、それはアメリカの帝国化を紛れもなく促進することになり、それによって何よりも悲劇に見舞われるのは第三世界なのである。アメリカ自身が帝国化の道を思いとどまるのと同時に、我々はアメリカを帝国とする世界ではなく、アメリカを含めた世界を国際関係において構築していかねばならないということ、さもなくば、我々は全てから見放された闇の底辺をどこまでも世界のうちに内包させたまま偽りの平和に甘んじてしまうということ、これこそ筆者の最も伝えたかった内容に相違あるまい。





