トリスタン・イズー物語 (岩波文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #50557 / 本
- 発売日: 1985-04
- 版型: 文庫
- 303 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
愛の秘薬を誤って飲みかわしてしまった王妃イズーと王の甥トリスタン。この時から2人は死に至るまでやむことのない永遠の愛に結びつけられる。ヨーロッパ中世最大のこの恋物語は、世の掟も理非分別も超越して愛しあう“情熱恋愛の神話”として人々の心に深くやきつき、西欧人の恋愛観の形成に大きく影響を与えた。
カスタマーレビュー
「永遠の愛」の原点-必読の古典
ワーグナーのオペラで有名な「トリスタンとイゾルデ」。もともとはケルト伝承で、べディエというフランスの研究者が、様々な異本を比較検討して纏めたのがこの訳の底本ということだ。しかしこれは現代人が読んでも十分面白い。佐藤輝夫の訳はなかなかの名訳で、読みやすいし、格調も高い。名作と呼ばれる後世の作品の中にも、影響を見ることが出来るし、西洋的「対幻想」の原型として、一度は読んでおくべきだと思う。娯楽教養小説としてもいけるし、「指輪物語」風に映像化することも十分可能だろう。死を齎し、死後も絶えて消えることのない西洋的「永遠の愛」の原点である。
ケルト起源の愛の物語り
アーサー王伝説をご存知の方なら『トリスタン』は円卓の騎士としてのイメージが強いかもしれませんが、この本の『トリスタン』はケルト由来の媚薬をテーマにした騎士トリスタンと王妃イズーの恋愛物語です。(アーサー王伝説に登場する『トリスタン』と同一人物でありながら、この『トリスタン』とはまったくの別人物でもあり、その為アーサー王も円卓もでてきません)
生まれた時からその境遇に(悲しみの子)と名づけられ媚薬によって運命を狂わされ、それをわかっていながらただ彼女の心を求めた騎士トリスタン。
トリスタンは他にもいろんな方の本で登場しているので読み比べるとずいぶん印象が違うのですが、この本のトリスタンはただイズーへの愛に一途で溺れるという言葉にぴったりな騎士です。思い詰めすぎてこの人には心休まる時はなかったのだろうかと思わずにはいられません。どのトリスタンも辿る運命は一緒なのですが、この本のトリスタンは全体通して孤独です。しかし最後の一行が深いんですね。孤独であっても独りで生きていた訳じゃなかった、そう思いたいです。
この作品の社会的意味
この作品を騎士道とか単なる恋愛悲劇だけで見ると、本来の中世吟詠詩として庶民に伝播され、広く愛された背景を見失ってしまうのではないでしょうか?キリスト絶対主義のもとで庶民が受け入れたものは、①お妃と臣下との不倫行為=キリスト教では絶対に認められない ②その逃げ道として利用したのが媚薬(フィルトル)=不倫に対する免罪符として ③二人の墓に絡まって再生したかのようなトリスタンとイズーの復活=復活はキリストのみ
というようなことが、中世ヨーロッパで広く愛され、支持された背景なのでしょう。いつの時代でも権威への反発はこんな形で静かに流布するのかもしれません。





