世界の十大小説 (上) (岩波文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #167279 / 本
- 発売日: 1997-10
- 版型: 文庫
- 316 ページ
カスタマーレビュー
なつかしい本
十数年前、夏休みの課題でこの本の感想文の提出が求められた(英語版:Art of Fiction)。最初はモームの本なんてどうせつまらないだろうと思っていた。ところが、そんなことは全くなく、最高の本だった。何が最高かというと、世界の文学を本当に好きにさせてくれるからだ。「文学=つまらない。難しい。」そんなイメージを払拭させてくれる。
モームは自分の本を宣伝しているわけではなく、他の文学者の本(しかも、厳選された「面白い本」)を徹底的に紹介してくれるのである。
十数年経過して、今、改めて読んでみた。やはり最高な著書である。
モーム氏の鋭い観察眼と名訳による傑作
『月と六ペンス』、『人間の絆』等で知られるイギリスの文豪、W・サマーセット・モーム氏の『世界の十大小説』(上)を読みました。
作家としてではなく、文学家、研究者としてのモームの偉大さが分かります。
上巻で取り上げられた小説は、以下の5作品
□トム・ジョウンズ :フィールディング
□高慢と偏見(自負と偏見) :オースティン
□赤と黒 :スタンダール
□ゴリオ爺さん :バルザック
□デイヴィッド・コパーフィールド :ディケンズ
作家の生涯と作品が生まれるに至った背景と批評が書かれていますが、意外だったのは作品の長所以上に作品の欠陥について多くが語られていることです。
ただ、モームは「小説は楽しむもの」であるからして、いくら欠陥があるからといって、作品を過小評価するにはあたらないとし、いずれも名作であることは疑いの余地が無いと言っています。
いずれの作家、作品にたいしても尊敬の念を忘れることなく批評を繰り広げます。
名作を生んだ作家諸氏においては、ほとんどの場合において天賦の才能というよりは、鋭い観察眼、偶然と勤勉によってそれら名作を生み出すに至ったとのこと。
決して生まれながらの天才ではなく、人生と格闘し、苦悩の末名作が生み出されたことがのべられています。
生まれながらの天才と認めたのはバルザックただひとりとも言っています。
なるほど、なるほど。
偶然はコントロールできないけれど、鋭い観察眼と勤勉さを持ってすれば、文学のみならずあらゆる分野で成功を収めることができるのかもしれませんね。
前向きな期待を持って読みる終えることができました。
余談ですが、訳者である西川 正身氏が、モームが引用した箇所に数箇所誤りを見つけ、突っ込みを入れて訂正しているのは正直脱帽ものでした。
類まれな語り部による紹介
タイトルから、どういう基準で十大小説なんて言えるの? と思った方も多いかもしれません。しかし下巻の解説にあるように、原題は「十篇の小説とその著者たち」ぐらいの意味です。「世界の十大小説」とした方が売れると判断したのかもしれませんが、訳者及び出版社はもうすこし見識を働かせてほしいですね。
さて、しかしそんな事情は作者のモームには当然まったく関係なく、本書は非常にすぐれた紹介であり、評論である。本書冒頭に「小説とは何か」という章を設けたことからもわかるように、モームの文学観が確立しており、しかも読者にわかりやすく説明しているから、読者は、なるほど、モームはこう読むのか、と客観の罠に陥らずに読むことができる。
読んでいない本は読みたくなり、読んだ本も再読したくなる。これだけで、モームが類まれな語り部であることがわかる。





