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サロメ (岩波文庫)

サロメ (岩波文庫)
By ワイルド

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  • 発売日: 2000-05
  • 版型: 文庫
  • 104 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
妖しい美しさで王エロドの心を奪ってはなさない王女サロメ.月光のもとでの宴の席上,7つのヴェイルの踊りとひきかえに,預言者ヨカナーンの生首を所望する.幻想の怪奇と文章の豊麗さで知られる世紀末文学の傑作.R.シュトラウスのオペラ「サロメ」の原典にもなった.幻想的な美しさで話題を呼んだビアズレーの挿画をすべて収録.

内容(「BOOK」データベースより)
月の光のもと、王女サロメが妖しくうつくしく舞う―七つのヴェイルの踊りの褒賞に彼女が王に所望したものは、預言者ヨカナーンの首。ユダヤの王女サロメの恋の悲劇を、幻想的で豊麗な文章で描いた、世紀末文学の代表作。ビアズレーの挿絵18点を収録。


カスタマーレビュー

すごいドラマだ5
聖書のわずかな部分からワイルドは一幕の悲劇を作り上げた。この一幕の中のドラマ運びの緊張感は恐ろしいものがある。台詞の一言一言がビシビシときまっている。登場人物の一人一人が生きている。加えて福田恒存の翻訳が見事である、うつくしい日本語である。まさにこれぞドラマである。

月光が照らすは妖しき王女の姿5
 ワイルドは奇抜な言動で知られ、非常に不運な人生を送った作家です。「没道徳」の烙印を押されがちな彼の作品にはしかし、人の心を惹きつけてやまない甘美で不思議な魅力があります。
 サロメは新約聖書における預言者ヨカナーンの受難の場面を一幕の戯曲にしたものであり、元の簡素な記述を何倍にも膨らまされた、不気味でおどろおどろしく、そしてどこかロマンチックな悲劇です。内容は短いので敢えてあらすじをここでは書きませんが、読む価値のある素晴らしい作品であることを保障します。戯曲なので実際のページ以上に短いため、文学だからと敬遠せずぜひ読んでみてください。このような作品を書くワイルドは『幸福な王子』などの童話の著者ワイルドと同じであることを踏まえると、より深く味わえると思います。

 なお、文庫では新潮版と岩波版が存在しますが、効果的に配置されたビアズレーの挿絵と福田恆存による名訳のため、この岩波版をお薦めします。印象に残る台詞と挿絵(余談ですがワイルドはこの絵が大嫌いだったそうです)に満ちた愛と憎しみの物語にじっくりと酔いしれてください。

無垢・サロメ。3
サロメの物語は新約聖書マタイ伝およびマルコ伝が背景になっているという。
残念ながら聖書に詳しくないので、この物語を純粋に戯曲として読み終えた。
物語のうちに起きる予言、事件、駆け引き、予感、結末への
この妙に短かすぎる、凝縮されたリズム、舞台の上にわきたつ『世界』の
芯を歪め、歪曲した物語への大きな効果となっているように思う。

「サロメ」にまつわるイメージは、エロティックなもの、甘い誘惑、であったが、改めて読み直してみるとサロメが初めて恋をするのであり、初めて異性に欲望を持つのである。男を手に入れる、その方法は自分に対して向けたれていた欲望の目を利用する形で実現する。残酷だが無垢なひかりを放つキスシーンは純粋でうつくしすぎるものであり、劇的である。ラストの予感、無垢なサロメを永久のものにする。「サロメへのエロティシズムは読み手側の感覚を狂わせるワイルドの手法、描写力に拠るのではないかと思った。