桜の森の満開の下・白痴 他十二篇 (岩波文庫)
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商品の詳細
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- 発売日: 2008-10-16
- 版型: 文庫
- 401 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
桜の森の満開の下は怖ろしい。妖しいばかりに美しい残酷な女は掻き消えて花びらとなり、冷たい虚空がはりつめているばかり―。女性とは何者か。肉体と魂。男と女。安吾にとってそれを問い続けることは自分を凝視することに他ならなかった。淫蕩、可憐、遊び、退屈、…。すべてはただ「悲しみ」へと収斂していく。
カスタマーレビュー
坂口安吾選集の決定版登場
安吾の純文学および幻想文学の代表作を網羅した短篇集。
前月発売の「堕落論・日本文化私観」、翌月の「風と光と二十の私と・いずこへ」とあわせて、岩波文庫3冊で安吾選集のコンパクトな決定版ができた感じだ。
分量も過不足ないし、これまでに出たどの作品集よりも純度が高い。
最新版筑摩全集に準拠した初めての文庫本なので、「白痴」や「戦争と一人の女」は無削除版であり、「風博士」は冒頭の1文から他社の文庫と違う。
あとはこれに、推理小説&ファルス、歴史小説、紀行&ルポなどで1冊ずつ作ってもらえれば、短篇選集としては完璧だろう。
この巻の収録作は以下のとおり。
風博士
傲慢な眼
姦淫に寄す
不可解な失恋に就て
南風譜
白痴
女体
恋をしに行く
戦争と一人の女〔無削除版〕
続戦争と一人の女
桜の森の満開の下
青鬼の褌を洗う女
アンゴウ
夜長姫と耳男
観念的な恋愛が好きな人にオススメです。
安吾先生は「肉欲」とか「肉体」とか「女体」とか言うキーワードを好んでいた割に、
性愛に走るのを拒み、理想論的な恋愛をガッチリ書こうとしていたようです。
その思想は「青鬼の褌を洗う女」や「女体」「恋をしに行く」で顕著だと思います。
プラトニック・ラヴに五月蠅い方には特にオススメです。
あと「戦争と一人の女」は無削除版のほうが記述が丁寧で読み易いです。
血生臭くもうつくしい「桜の森の満開の下」「夜長姫と耳男」も読めて、
非常にお得な一冊です。
人間の魂を見詰める視線の遍歴
この作品集には十四篇の短編が収められており、人間の魂を見詰める坂口安吾の姿勢の遍歴と、その小説への凝縮を辿ることができる。『吹雪物語』の執筆(昭和11年から昭和13年)或いは「文学のふるさと」の発表(昭和16年)を一つの境目と考えると、本作品集を興味深く読めるかもしれない。
坂口安吾の文学のモチーフは人間の魂の全的肯定にあり、それは人間生来の孤独、哀切(それを彼は「ふるさと」と呼ぶ)を冷徹に凝視することで為される。初期の作品に於いては、「ふるさと」に対する彼の態度は虚無的で感傷的だった。その感傷の故に数々の美しい詩的な作品(本作品集では「傲慢な目」を特に挙げられるだろう)が生まれたが、一方では視線には冷徹が不足し、「ふるさと」に対する態度には厳格が稀薄だった。そのために「ふるさと」には現実感が欠け、憧憬ばかりが顕著になっている。しかし徐々に(本作品集では昭和21年の「白痴」から)、彼は「ふるさと」に急速に接近して行く。感傷的なものから現実的なものへ、憧憬から希求へ、受動から能動へ。この姿勢の変化とその徹底によって、彼は人間の魂の深層を照射し、人間の魂の全的肯定そして人間の生命力への全的信頼に達したのだ。





