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にごりえ・たけくらべ (岩波文庫)

にごりえ・たけくらべ (岩波文庫)
By 樋口 一葉

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  • 発売日: 1999-05
  • 版型: 文庫
  • 141 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
酌婦の身を嘆きつつ日を送る菊の井のお力のはかない生涯を描いた「にごりえ」.東京の下町を舞台に,大黒屋の美登利,龍華寺の信如,正太郎,長吉たち思春期の少年少女を描いた「たけくらべ」.吉原遊廓という闇の空間とその周辺に生きる人びとに目を向けた一葉の名篇を収める.詳細な注を加えての改版.(注・解説=菅聡子)

内容(「BOOK」データベースより)
酌婦の身を嘆きつつ日を送る菊の井のお力のはかない生涯を描いた「にごりえ」。東京の下町を舞台に、思春期の少年少女の姿を描く「たけくらべ」。吉原遊廓という闇の空間とその周辺に生きる人びとに目を向けた一葉の名篇を収める。改版。


カスタマーレビュー

ツボが分かればハマります5
 「たけくらべ」がいちばん好きです。大人になる前の年齢の主人公たちが活き活きと描かれていて楽しく、でも同時に人生の宿命のようなものをひたひたと重く感じさせる物語。原文がとっつきにくい、難しくてダメ~という方は、「ガラスの仮面」という漫画に出てくる「たけくらべ」の章を読んで物語の全体をつかんでから、原文を読むことをお勧めします。そうすると話は分かってるからスッと入れるし、同時にここぞという場面で一葉の文章がどれだけ簡潔にしてイメージ喚起力豊かかがよく分かります。特に最後のあっさりした運び。主人公たちがまだ大人の世界に入る前の年代なので、あきらめるしかない運命の物語にも、生活によって擦り切れ薄汚れた哀感ではなく、凛とした爽やかな切なさが残ります。
 「にごりえ」。これは逆に、大人の男女があきらめきれず見極めきれず、迷い・恨みの哀感漂うお話で、やはり最後が見事です。どうしようもない感情を抱えながら、それぞれ毎日の生活を繰り返す男女。そしてあっけない、ひっそりとした結末。人魂というものが本当にあるように思えてぞくっとしました。

ぜひ音読でどうぞ5
運命に翻弄される者たちの、哀しい物語が8篇、収められています。

私は、ここに収められた8篇のうち、『わかれ道』と『われから』の最後の文章の終わり方が好きでした。
他の6篇とは少し趣きの違う終わり方で、どちらも、台詞で唐突に終わるのですが、そうすることによって、お芝居を見終えた時のような、余韻のある最後になっています。

一葉の文章には、たたみかけて来るような独特のリズム感がありますが、例えば『たけくらべ』には、「さりとも知らぬ母の親」など、浄瑠璃風の言い回しも見られ、読んでいて楽しい文章でした。

この新潮文庫版の巻末には、一葉の年譜が載せられていて、5頁にわたって細々と彼女自身の人生についても書かれているので、大変参考になります。

一葉ファン5
「・・行かれるものならこのままに唐天竺の果てまでも行ってしまいたい、ああ嫌だ嫌だ嫌だ、どうしたなら人の声も聞こえないものの音もしない、静かな、静かな、自分の心も何もぼうっとして物思ひのない処へ行かれるであらう、つまらぬ、くだらぬ、面白くない、情けない悲しい心細い中に、何時まで私は止められているのかしら、・・・」(『にごりえ』)
お力が座敷の途中で抜け出して一人やるせない気持ちを吐露するところです。
社会の底辺で生きる身の宿命を嘆き、そしてあきらめる心情を同じ女性の立場から切々と描いています。
『たけくらべ』とならび、わずか24年の生涯の晩年に書かれた一葉渾身の作品です。