習熟度別指導の何が問題か (岩波ブックレット)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #36424 / 本
- 発売日: 2004-01
- 版型: 単行本
- 70 ページ
エディターレビュー
出版社/著者からの内容紹介
特定科目でクラスを別編制して学習する―能力差別につながるとして長らく教育の世界でタブー視されてきた指導法が,今や公立小学校の7割以上,中学校の6割以上で導入され,急速に普及した.「学力低下」を食い止める方策となりうるのか.そして子どもの学びを真に支え,伸ばすことはできるのか.海外での事例をもとに検証する.
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
佐藤 学
1951年広島県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。東京大学大学院教育学研究科教授。教育方法学。子どもの学びを中心に据え、内外の実践から得た知見と理論をバックに授業改革・学校改革に参画。研究者としてアメリカ・ヨーロッパでも高い評価を受ける。ナショナル教育アカデミー会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
習熟度別指導は21世紀の学びには応えられない
この本を読むまでは「習熟度別指導」の信奉派であったが、少し考えを改めるようになった。自分が信奉派であった理由の一つは、この本でも指摘しているように、自分自身の体験(分かりきったことを教えられて退屈した「できる子」としての体験または難解な内容を教えられ理解できなかった「できない子」としての体験)からくる素朴な観念によるものである。しかしこれは実感を伴っているため、改心するのは難しい(実感)。
筆者も述べているように、計算技能や漢字などの基礎技能の領域や、画一的な一斉授業;教師が教壇に立って黒板と教科書を使って説明し生徒がノートに筆記して試験に備えるという伝統的なスタイル、では有効である。ただし、これからのポスト産業社会(知識社会)において求められる能力を身につけるための21世紀型の学びにおいては、有効な手段にはなり得ないものである。
個人的な私見ではあるが、習熟度別指導というと「○○式」が頭に浮かぶ。○○式学習法は、読み書き計算に特化して段階的に組まれた学習内容を解くものであり、最初は今の実力より低いところからスタートする。本書では否定的な、分からなくなったら基本に戻る、という考え方そのものに見える。しかし○○式の目指すところは、学年を超えて進む=>自分の解らないところを自力で解けるように努力する力(この壁を越えることが○○式の真髄のようです)をつけることである。この本の中で問題とされている習熟度別指導とは異なるものであろう。
本書で提案されている21世紀型の学びとは、教育内容を「プロジェクト:課題」として捉え、「協同学習」により「背伸びとジャンプ」を実現するものである。そのような授業は力のある教師でないとなかなか難しいのではないかと思うが、世の先生方には、ぜひ実践して欲しいと思う。
小集団学習の限界が見える
習熟度別学習が多くの国で失敗したことは、あまり知られていない。この書には、具体的な研究の事例が豊富に収録されており、説得力がある。習熟度や少人数など、少人数での学習を行う実践家は読んで損がない本である。薬であると思って処方した薬が、できあがって見たら毒だった。そういう学習が、少人数・習熟度なのでは・・・と感じさせられた。
何が問題かというと、「失うもの多く得るもの少なし」と。
最近この本の著者、佐藤学先生の本を数冊読みました。主張は一貫しています。競争と個人主義の教育から、「協同的な学び」へ転換せよということです。「学力」観が混乱している今、とても魅力的に思えます。
著者の関わった「浜之郷小学校」などに見られるという、聴き合う関係のもとに静かに真剣に取り組まれる質の高い学びは、いろいろな子が教室にいてこそ。「習熟度別」は、そうした学びの機会を減らすものであり、「上位」「中位」「下位」のどのグループにとってもマイナスが大きいといいます。
私の学校でも、「少人数指導」と「習熟度別」が十分な理由付けのないままにセット化されつつあります。同僚にもこの本を紹介したいと思っています。





