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貧困のない世界を創る

貧困のない世界を創る
By ムハマド・ユヌス

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  • 発売日: 2008-10-24
  • 版型: 単行本
  • 382 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
人の思いやりと自由市場の力学を融合させ、社会問題を解決する新しい企業、「ソーシャル・ビジネス」とは?その壮大な構想と巧みな実践を情熱豊かに綴る。2006年度ノーベル平和賞受賞後初の著作。

著者について
ムハマド・ユヌス Muhammad Yunus
1940年、バングラデシュ・チッタゴン生まれ。チッタゴン・カレッジ、ダッカ大学を卒業後、チッタゴン・カレッジの経済学講師を経て、米ヴァンダービルト大学で経済学博士号を取得。
1972年に帰国後、政府経済局計画委員会副委員長、チッタゴン大学経済学部学部長を務めて教鞭を執るが、1974年の大飢饉後に貧しい人々の窮状を目の当たりにして以来、その救済活動に目覚め、1983年にはグラミン銀行を創設。マイクロクレジット(無担保少額融資)で農村部の貧しい人々の自立を支援する手法を全国で展開し、同国の貧困軽減に大きく貢献した。これが多くの国際機関やNGOなどの支援活動の模範となり、現在では全世界で1億人以上がマイクロクレジットの恩恵を受けているといわれている。ここまでの彼の歩みについては、『ムハマド・ユヌス自伝──貧困なき世界を目指す銀行家』(早川書房)に詳しく語られている。
また全方面からの貧困撲滅を目指すユヌスとグラミン銀行は、貧しい人々の住宅、教育、医療などを支援するサービスを次々と開発するのみならず、多くのグラミン関連企業を創設して、地場産業の振興、携帯電話やインターネットの普及、再生可能エネルギーの利用などをも推進している。そのいくつかは、彼の提唱する「ソーシャル・ビジネス」の形で運営されている。これは株主の利益の最大化ではなく、社会的利益の最大化を目標とする新しい企業体であり、会社を持続可能にする収益を保ちながら社会貢献ができるという点で、企業の社会的責任(CSR)や慈善事業に代わる概念として注目を集めている。本書は、仏ダノンとの合弁による「グラミン・ダノン」の例を挙げながら、ソーシャル・ビジネスのコンセプトから実践面、そしてその拡大によって世界を変える道筋までを、ユヌス自らが情熱豊かに綴るものである。
ユヌスの功績に対しては、「アジアのノーベル賞」といわれるマグサイサイ賞、世界食糧賞、日経アジア賞、福岡アジア賞など数々の国際的な賞が贈られており、2006年にはノーベル平和賞を受賞している。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ユヌス,ムハマド
1940年、バングラディシュ・チッタゴン生まれ。チッタゴン・カレッジ、ダッカ大学を卒業後、チッタゴン・カレッジの経済学講師を経て、米ヴァンダービルト大学で経済学博士号を取得。1972年に帰国後、政府経済局計画委員会副委員長、チッタゴン大学経済学部学部長を務めて教鞭を執るが、1974年の大飢饉後に貧しい人々の窮状を目の当たりにして以来、その救済活動に目覚め、1983年にはグラミン銀行を創設。マイクロクレジット(無担保少額融資)で農村部の貧しい人々の自立を支援する手法を全国で展開し、同国の貧困軽減に大きく貢献した。貧しい人々の住宅、教育、医療などを支援するサービスを次々と開発するのみならず、多くのグラミン関連企業を創設して、地場産業の振興、携帯電話やインターネットの普及、再生可能エネルギーの利用などをも推進している。「アジアのノーベル賞」といわれるマグサイサイ賞、世界食糧賞、日経アジア賞、福岡アジア賞など数々の国際的な賞が贈られており、2006年にはノーベル平和賞を受賞している

猪熊 弘子
1965年横浜市生まれ。日本女子大学文学部英文学科卒業。高校教師を経て、ジャーナリストに転身。主に子ども、女性、保育、福祉、教育の問題をテーマに、週刊誌、新聞などの記事、書籍の執筆、翻訳を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

最貧国とも呼ばれたバングラデシュからこのような人物が出てくることに、新たな未来を感じた。5
 2006年ノーベル平和賞を受賞したマイクロクレジットのグラミン銀行創設者ムハマド・ユヌスの最新作。

 初めてこの人の本を読んだが、志の高さと、行動力そして新たな経済システムとも言うべき「ソーシャル・ビジネス」の提案など、その思想に感服した。
 なんといっても、今の多くの資源を消費することを美徳とする資本主義が行き詰まっている今、このような考え方が持続可能な新たな世界の構築に役立っていくのではないかと期待させられる。

 彼はバングラデシュから貧困をなくすために開始したマイクロクレジットだけではなく、医療から教育、携帯電話などなど様々な事業(ソーシャルビジネス)を行っている。
 それらの中で、本書では開始して間もないフランスのダノンとの合弁事業の展開が詳しく述べられている。この過程で今までのダノンにはない、太陽電池パネルを備え水処理システムなどを備えた環境対応型で多くの地域に雇用を創出する小さな工場の建設提案や、トウモロコシを原料とした生分解プラスチックの容器への使用など新たな試みがいくつも出てくる。素晴らしいのは、この事業の目的が、貧しい人たちの栄養状態の改善と彼らへ職を提供することにより貧困を減少させること、そしてそこから得られる利益は投資家には還元されないというものである。

 彼は、経済のグローバル化は否定はしていない。むしろアプローチの仕方によっては貧しい国々を助ける力になると述べている。しかし、その負の側面に対しては適切な監視やガイドラインの必要性を訴える。

 彼の描く未来は明るい。第三部の「貧困のない世界」にその夢は述べられている。先進国からではなく、最貧国とも呼ばれたバングラデシュからこのような人物が出てくることに、新たな未来を感じた。

経済学の忘れもの5
2006年ノーベル平和賞はムハマド・ユヌス総裁とグラミン銀行に贈られた。
受賞理由は「貧困層の社会的経済的基盤の構築」だった。
この本は、ユヌス氏のノーベル平和賞受賞後の初の著作にあたり、貧困層への融資
(マイクロクレジット)に関する考えが詳しく語られている。

(1)世界銀行等への批判
    世界銀行は「貧困の排除」を目標に掲げているが、大規模な経済成長を通じてのみ
    しか貧困層の救済を考えていない。経済成長は時間がかかりすぎることが多く、また
    成長は貧困層を犠牲にすることがありえる。ユヌス氏の世界銀行批判は厳しいが
    世界銀行の存在意義を否定しているわけではなく、その手段・パラダイムの古さを
    指摘している。
(2)融資のスキーム
    借主は5人組で相互扶助組合を作らなければならないが、借主以外の4名は連帯保証
    とは異なり債務の返済義務を負うものではない。これはバングラデシュのように、
    人口の流動性が低く、相互補助意識の高い国にしかなりたたない可能性はあると思う。
(3)融資の条件と対象
    働くこと(商売すること)を条件としその運転資金として貸し出しを行う。
    借主の97%が貧困家庭の女性。ユヌス氏は女性への融資は男性への融資に比べ
    子供の教育資金に回っていくことが多いと説明している。
(4)回収率
    98.9%と通常の融資と比べ回収率について遜色はない。
(5)教育活動
    グラミン銀行は識字率の向上にも力をいれている。
(6)サブプライムローンとの違い
    消費目的には融資しない。また融資の債権を商品化し転売することはない。
(7)マイクロクレジットの思想と社会主義の関係
    マイクロクレジットは飽くまで資本主義の中で貧困層を中間層に押し上げることを
    目標としている。
 
経済学・金融論はもともと人間の幸せの追求が動機であったはずだが、幸せを効用という
言葉に置き換え、人間はどのように行動するのかを予測する学問に変質してしまったの
かも知れない。 私はこれからもグラミン銀行を見守って行きたい。

資本主義システムのmissing pieceとしてのソーシャルビジネス5
経済のグローバル化、市場の自由化は素晴らしいことである。金融技術、情報技術などの発達もあって、我々の生活は過去50年で大きく改善している。しかしながら、それは地球上の極限られたわずかな人々の話であり、世界の人口の半分は一日当り2ドル以下での生活を強いられている。本書ではこの不合理がなぜ起きているのか、それをどのように改善すべきかを自身の経験に裏付けられた信念、理論で語られている。

曰く、今までの経済学では「人間をただお金だけを動機、満足、幸福の唯一の源とする一事件的な生き物だという前提」があり、資本主義のシステムも利益を最大化することを目的とした企業を前提に作られている。しかしながら我々は寄付をするなどして困っている人を助けたりするし、人のためになることに喜びを感じる。また最近では企業の社会的責任が注目を集めるなど、人間は必ずしもお金、利益だけを目的として生きている訳ではない。

経済的な利益と社会的な利益は究極的には両立出来ないというのが氏の主張で、社会的な利益を追求するソーシャルビジネスという新しいモデル、システムを提唱している。

今の企業社会、資本主義社会に疑問を持っている方には一度読んで頂くと、社会に対する新しい見方が出来て良いかもしれない。