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ウェブログの心理学

ウェブログの心理学
By 山下 清美, 川上 善郎, 川浦 康至, 三浦 麻子

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  • 発売日: 2005-03
  • 版型: 単行本
  • 209 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
本書『ウェブログの心理学』は、4名の社会心理学者による共著です。研究書と一般書の中間くらい、あるいは一般読者を意識した研究書といえばいいでしょうか。堅苦しい本ではありません。装丁も可愛らしく仕上がっていて、気楽に読んでいただけるのではないでしょうか。

本書では、「ウェブログ」を、ウェブ日記やテキストサイト、ブログ・ツールなどの総称として用いています。その上でネット上のコミュニケーション全体の中にウェブログを位置づけます。WWW以後、成長・発展してきたウェブログの変化もとらえています。こうした大きな視点に立つことで、現在のブログ・ブームの背景や特徴がよりよく理解できると考えています。

本書の特徴はまだあります。ウェブログに関してこれまで行ってきた研究をベースにしている点です。人はなぜウェブログを書くのか、書き続ける動機は何か、というテーマで、わたしたちは1997年にウェブログ(当時はウェブ日記)研究を行いました。さらにその枠組みを発展させて、2004年にも研究を行いました。それぞれの研究から、ウェブログを書き・読む人々の意識をデータに基づいて考察しています。

さらに、インターネットの変遷、特にウェブ日記からブログへの発展の理解を助けるための年表や記事の附録も本書の特徴です。ブログに関する新しい情報は、現在たくさん得られます。しかし一昔前の情報は早くも失われつつあり、今記録しておくことが大事だと考えたからです。

現在ブログ関係の書籍はたくさん出ています。その中で、本書は異色ではないかと思っています。ブログの設置方法も、どうやったらブログでお金儲けができるかも書いてありません。そうした内容は、他書に譲りました。

古くからのネットユーザの方々には、「そうそうこういうことがあったよね」と懐かしがっていただける部分もあります。最近ブログを始めた方、これから始めようかと思っている方々には、附録の「ウェブログの歩き方」が参考になると思います。ウェブログを利用する際の留意点やアドバイスを載せました。

本書の企画から完成に至るまでの間、たくさんの方のお世話になりました。いただいた情報や経験を、十分生かしきれていないところもありますが、まずはこうした形で本を提示することで、今後さらにウェブログについて考察し研究を続けていきたいと考えています。

内容(「BOOK」データベースより)
社会心理学から分析するネット・コミュニケーションの最新形。なぜブログは書かれ、読まれるのか。

内容(「MARC」データベースより)
なぜブログは書かれ、読まれるのか? 個人が自分のことや見聞きしたことがインターネットというコミュニケーションの場でリアルタイムに蓄積されていくネット・コミュニケーションの最新形、ブログを社会心理学から分析する。


カスタマーレビュー

ネットの先輩たちから話を聞くように5
タイトルの「ウェブログ」はなじみが薄い言葉だけれど、いま大流行のブログは
この「ウェブログ」の短縮形。この本ではネット上の個人ホームページ全体を
対象として扱いながら、なかでも日記の形式を取るコンテンツ(ウェブログ)に
特に焦点を当てている。

ネットの日本での発達の歴史がわかりやすくまとめられていて、
自分が参加する前の事情もわかり面白かった。わずか十数年のことなのに、
状況の変化は隔世の感があるのだ。著者はみなその間の事情に詳しく、
ちょっとした「昔話」を先輩から聞いている気分になった。

この本のなかのいわゆる心理学的な記述に関して、個人ホームページを持って
何年かにわたって書いている人なら、「わかる、わかる」と頷く個所が
多いだろう。日記を書くということは、自分の心をのぞきこむことであり、
読者とのやりとりに一喜一憂し、他サイトの書き手との関係に注意を払い、
ネット外の自分とネットの自分との関係についてあらためて考えることであり、、、
要は誰でも「心理学」に非常に近いところにいるのだと思う。

ネットの読み手はひとつのサイトのなかを自由に移動したり、リンクを通じて
つながっている他のサイトにも移動したり、また戻ってきたりするわけだが、
それを「読み手であるわれわれが自分なりのテキストをつむぎだしている」
という指摘が面白かった。
また、日記中心の個人ホームページがごく普通の一個人の記録になっていること(縦)、
そしてリアルタイムで他の人たちがどう生きているかを見ることができること(横)、
この縦と横の「絶妙の相乗効果」があるという表現もうまいなぁと思う。説得力がある。

ところで、「つながる」ということはネットの一番の特長だろうけれど、
わたし自身は現在流行のブログやMixiなどのソーシャル・ネットワーキング・
サービスについて、「安易につながりすぎ」あるいは「つながりたがりすぎ」だと
少々苦々しく思っているのだけれど、この本の著者たちはウェブログの将来について
できるだけ肯定的に見ようという姿勢のようだ。
巻末にはこれからブログを始める人へのガイドもあって、著者たちが
研究対象としてだけでなく、きっと個人的にもネットをたいせつに考え、
育てようとしていることが伝わってくる。好感の持てる本だ。

社会心理学的にWeblogを分析4
この本を他のWeblog実践書だと思って購入してはいけない。この本は、Weblogの文化を社会心理学の立場で分析している本なのである。
ウェブログとブログツールを用いたウェブログをきちんと区別しており、また、インターネットの歴史から現在のウェブログブームを考えているのが素晴らしい。
しかし所々に登場するIT用語や心理学用語などの専門用語の一部にに注釈的な表現がなく、「知ってて当然」のように使われている箇所がいくつかあり、その道に携わっていない人がこの本を理解することを難しくしている。
様々な資料を用いて説明してくれるのには説得力があるのだが、もう少し図解などの表現を加えても良かったのではないだろうか。
だが、出典元となる文献やソースが全て明記され、インターネットの歴史の年表もついておるので、このブームがどこから来てどこへ行こうとしているのかを考えるのにとても役に立つだろう。
繰り返すが、この本はウェブログ実践書ではない。

数年後に読み返しても価値の減じない本5
いまだ出版ラッシュの続くウェブログ関連書籍だが、数年後に読み返してみても価値を保っているだろうと思われるものはほとんどない(『ウェブログハンドブック』くらい?)。ハウツー本はもちろんだが、その他の書籍も、せいぜい著者の身辺のごく狭いコミュニティでの経験を基にしているだけなので、視野が狭くてとても一般化できるシロモノではないのだ。しかし、WWWの黎明期から研究を続け、しっかりとしたフィールドワークまでこなした本書の著者たちは、経験の厚さ、視野の広さ、どれをとっても文句のつけようがない。

特に「歴史」を扱った第2章は重要だ。10年に渡るウェブログの歴史の中で、昨今のブームはたかだか1、2年のことである。そこにだけ着目した議論がなんと底の浅いことであるか。現在問題になっていることのほとんどが過去に登場済みであることがわかるだろう。「本質」に目を向けるいいきっかけになる章である。

そして、1997年の調査を元にした第3章。「Web日記」を「blog」に置き換えてもなんの違和感もないこと、また第4章と読み比べて、今と当時との違いはせいぜい「カネの匂い」の有無くらいである(カネの匂いはけっこう重要な軸ではある。が、あまり踏み込まなかったのは本書の立ち位置のせい?)。いまだに「Web日記とblogは違う」とか、自分の感覚だけで言ってる二元論者は、こういう事実を知るべきである。ウェブログは二値で分けられるものではなく、二次元スペクトルのどこかに位置づけられる、境界のあいまいなものなのだ、ということがよくわかる。

あと個人的には、第4章の「おわりに」が、ちょっと感動的な締め方だったのがよかった。そうそう、続けることが重要なんですよ。